自閉症児を対象としたイルカ介在活動の効果に関する事例研究(最終報告)
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概要
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イルカ介在活動を,自閉症を含む発達障害に適用することにより,行動の改善が報告された事例が少なからず存在する。本研究は,ある自閉症児を対象として,香川県さぬき市において継続的に行われたイルカ介在活動の効果に関する実践事例の報告である。今回は,重度知的障害を有する自閉症児が,2008年夏期に3日間(4セッション)の活動プログラムに参加した事例を,行動課題得点,行観察記録,母親との面談記録に基づき分析し,イルカ介在活動の効果を検討した。その結果,行動課題得点については,過去(2002年,2004年,2005年,2007年)及び2008年に参加時のビデオ記録の解析から,6年間の経年変化として有意な上昇が見られた。今回のプログラムでのセッションの進行によっては得点の変化は緩やかであり,一定水準で維持されるという,漸近効果が見られた。しかしながら,行動観察記録等に基づいた質的分析では,昨年に比べて,自発的発語の増加,応答時の反応の適切さ,自己感情表現の適切さが見られ,対人場面でのコミュニケーションのいっそうの促進が見られたことから,イルカ介在活動プログラム全体として本児への療育効果が確認できたといえる。これらの結果に基づき,イルカ介在活動・療法の課題と問題点,活動の今後のあり方について,保護者からの聞き取り結果も勘案して総合的に論議した。A certain amount of case studies has so far reported an improvement in behavior in the dolphin assisted activity (DAA) applied to children with developmental disorders such as autism. The present study examined the effect of the DAA program in Kagawa (City of Sanuki) on an autistic child with mental retardation. The child participated in the 3-day program (4 sessions) of DAA done in August 2008 showed high level performance over the sessions in terms of average scores in the Behavior Evaluation Scales (BES) which consisted of 12 items with 4-point scale each. An additional analysis of video recording for Kagawa’s 2002-, 2004-, 2005- and 2007-programs showed a steady improvement in the BES scores on the year-to-year basis. Behavioral observation of a child throughout an entire activity and the interview protocols with a mother of the child suggested conspicuous improvement in the use of words and interpersonal relationship including mother-child relationship. The results suggest the effectiveness of the DAA program as a whole body on developmental disorders and also on the child himself. Further issues and problems on the DAA are discussed.
- 2010-02-26
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