『鈍字画』小考
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概要
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江戸時代末期から明治時代にかけて数々のことば遊びが大坂(阪)を起点として発信された。その多くは心斎橋の書肆兼草紙屋であった塩屋喜兵衛によって瓦版として出版されたものであった。詳細は小著『ことば遊びの世界』(平成17年・新典社)で述べたが、それらの瓦版の中に『大しんぱん どん字づくし』『どん字づくし 二編』があった。それらは鈍字(どんじ)と称される文字遊びの瓦版であったが、塩屋喜兵衛はまた冊子本の『どんじしう 初編』も出版している。このように鈍字は塩屋喜兵衛を発信基地としたが、創作に関しては同時代の大坂の文人たちが担っていたものと考えられる。本稿は鈍字創作の覚書的役割を持つ写本『鈍字画(どんじえ)』の一本を紹介することによって、鈍字の創作と流布に関する研究の端緒となることを目指したい。Donji is a visual play on characters and letters, and a kind of play on words in Japanese. There are some books in which various kinds of donji are collected.“Donjie (鈍字画)”is one of them. “Daishinpan Donjizukushi (大しんぱんどん字づくし)”“Donjizukushi Nihen (どん字づくし二編)”“Daishinpan Donjizukushi Hanjimono (大しんぱんどん字づくしはんじもの)”“Donjishu Shohen (どんじしう初編)”, and “Donjishu Shohen (鈍字集初篇)”were introduced in the other reports before. This report introduces“Donjie(鈍字画)”.
- 2010-02-26