アメリカのカリキュラム理論に関する基礎的研究(第3報) -1920年代のカリキュラム構成と活動分析法-
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概要
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大恐慌以前の1920年代のアメリカは,総じて「好景気」と「繁栄」のなかにあり,それこそ「新しき自由」を求める活気に満ちていた。このような気運は,教育とカリキュラムの改革にも反映していた。大きな社会的変化,生活条件の変化に対する教育とカリキュラムのズレ,あるいはそれらの変化に対する教育とカリキュラムの立ち遅れは,しばしば研究者の指摘するところとなったのである。このような状況のなかで,カリキュラム研究の焦点は現実社会の変化に応じたカリキュラムをいかなる科学的な方法によって構成していくのかという「カリキュラム構成」(curriculum construction)の理論の追求におかれていた。否,むしろカリキュラム構成という概念と課題は,このような時代的背景と要請のなかから始めて生みだされてきたといわなければならないのである。そしてそのカリキュラム構成の方法として注目され,活用されたのが「活動分析」(activity analysis)であった。F.BobbittとW.W.Chartersは,活動分析法の主唱者であり,その手法によりカリキュラムを分析し構成したことは,よく知られた事実である。活動分析という手法を基軸としながら,Bobbittはカリキュラムの内容領域と展開過程のあり方を究明したのであり,Chartersは教育目標の設定,カリキュラム構成の段階を明らかにしたのである。アメリカにおけるカリキュラム構成法の始源ともいうべき活動分析法について,今日,その限界性や問題点を指摘することはそれほど困難なことではない。しかしアメリカにおけるカリキュラム構成法の開発と検討が,カリキュラムは社会的諸活動との関連において定立されなければならないということ,そしてカリキュラムはそのいわば社会的有効性をいかに獲得しうるのかという点から構成されなければならないということから始まったことの意味と積極性は,今日においてもなおかつ重視され,十分に吟味されて受けとめられなければならない。それは本来,カリキュラムとはいかにあるべきかという,カリキュラム理論の本質に深くかかわっていることなのである。Various phases of American life in the twenties, before the panic of 1929, have been changed by the rapid progress of industrialism, and many curriculum-makers focussed their attention how to construct the curriculum according to such changing situation. Their main works were to cut down the huge gap between the curriculum and American life and go though with the duty of bringing a generation of youth to an understanding of American life. F.Bobbitt and W.W.Charters, they were theoretical and practical leaders of curriculum making, tried to build the curriculum that fit the changing American life and to develop the procedure of curriculum-construction depending upon the method of activity analysis. Today, concerning to their contribution on the method and procedure of curriculum-construction, we can point out not a few limits and shortcomings. But it must be admitted that their theories of curriculum-construction have been developed under the basic principle that curriculum is to prepare youth for the activities of realistic social life. Their approach standing such basic principle was the most fundamental and essential one in connection with how to construct the curriculum. In this article, the author aimed to understand the general feture of Bobbitt's and Charter's theories in curriculum-construction and to grasp the essential meaning of their theories. It is not too much to say that the author's final aim is to find out some aspects that succeeded and developed in their theories and to get the fundamental views upon the curriculum-construction.
- 大阪教育大学の論文
- 1984-01-31
大阪教育大学 | 論文
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