収穫した野菜のクッキングによる食育効果と保護者の食意識,園児の食関心との関連
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概要
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大阪府内の本研究対象の幼稚園では2007年4月より食育実践を推進した。園児の保護者を対象として,1回目2006年10月,2回目(食育実践後)2008年2月に質問紙調査を実施した。1回目は308人,2回目は339人を解析対象とした。1年間の幼稚園における野菜や果物の栽培・収穫・収穫した野菜を使ったクッキングを加えた食育実践プログラム“野菜を食べよう”の検証を行い,食育効果を評価した。食育実践でクッキングが加えられた年長児は野菜嫌いの割合が56%から1年後には42%へ有意に低下した。園児の「野菜嫌いなし」は「食べ物の好き嫌い」がほとんどなく,「イライラ」も少なく,「いつも楽しんで食事をする」,保護者は「家族揃って食べる工夫をいつもする」割合が有意に高かった。食育目標,“野菜をしっかり食べ,楽しく食べる”ことに繋がっていた。1年間の食育実践は食育プログラムとして,有効性が示唆された。「子どもと一緒に料理する機会の増加」「食生活に関心が高まる」「料理に野菜を意識して使用する」「園での食育を家庭で実践する」「家族揃って食べる工夫をする」を下位尺度とする“保護者の食意識”高群,「食べ物の話をする」「食事の感想をいう」「食事の要望をいう」「食事のあいさつをする」を下位尺度とする“園児の食関心・食の会話”高群はそれぞれの低群に比べて,食育効果指標でもある,園児の「野菜嫌いなし」「食べ物の好き嫌いなし」の割合が有意に高値であり,食育実践効果との強い関連性が示唆された。The purpose of this study was to examine the effects of dietary education by cooking using harvested vegetables for kindergarteners. In addition, we examined the influence that the guardian’s dietary consciousness exerts in the effect of dietary education to kindergartners. The subjects of the analysis were 308 guardians the first time in 2006 (before dietary education), and 339 guardians the second time (after 1 year). The ratio of kindergartners who hated vegetables decreased from 56% to 42% after one year of dietary education. The kindergartners who didn't hate vegetables had fewer hated foods, had less irritation, and always enjoyed eating. Also their guardians always made an effort to take meals with whole family together. These data suggested the effectiveness of this education program for one year. The subjects were divided into two groups by the score of the sub scale (opportunities to cook with a child increased, became interested in the meal, consciously used vegetables in cooking, made an effort to take meals with whole family together) of the guardian’s dietary consciousness. The ratio of kindergartners who hated vegetables was lower in the high score group for the guardian’s dietary consciousness than in the low score group. Also, the ratio of kindergartners who hated vegetables was lower in the high score group for the kindergartener’s interest in meals. This study showed that the guardian’s dietary consciousness was important to dietary education for the kindergarteners.
- 2009-09-30
著者
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奥田 豊子
大阪教育大学教養学科生活環境講座
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奥田 豊子
千里金蘭大学 生活科学部食物栄養学科
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奥田 豊子
甲子園大学 栄養
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奥田 豊子
大阪市立大学生活科学部
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奥田 豊子
大阪教育大学 健康科学専攻
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奥田 豊子
Life And Environment Department Of Arts And Sciences Osaka Kyoiku University
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奥田 豊子
大阪教育大学生活環境講座
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