失語症および運動性構音障害患者についてのイメージ距離に関する一考察
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概要
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失語症および運動性構音障害について概要のみを知った者が、それぞれの患者を気持ちのなかで自分とどれ程の距離をもって位置付けるか(イメージ距離)を調べた。対象は43名の医療系専門学校生(作業療法学科)である。方法は、被験者が、①失語症と運動性構音障害についての概要を筆者より聞く、②ブローカ失語・ウェルニッケ失語・運動性構音障害それぞれに関する説明を読む、その後、③それぞれの障害をもつ3人の患者と自分との距離をイメージして、用意された線分上に記す、というものである。結果、1.ウェルニッケ失語患者に対する被験者のイメージ距離は、他2者に対するイメージ距離とくらべ有意に長かった、2.ブローカ失語患者と運動性構音障害患者に対する2つのイメージ距離の間には有意差がなかった。将来患者に接する者が、1.言語障害患者に対して、ある程度の聴覚理解力および内容面の表出能力、結果としてやりとりが成立することを重要視していること、2.ブローカ失語患者の聴覚理解力の低下などを過小評価しているかも知れないこと、3.ウェルニッケ失語患者をある程度の距離をもってとらえていること、以上の可能性が示唆された。更に、言語障害の概要教授における留意点などに言及した。We studied the distance in mental image of the subjects between themselves and aphasiadysarthria patients. Subjects were 43 professional school students in course of occupational therapy. The procedure of our task was as follows: ①subjects listened to the examiner's lecture on outline about aphasia and dysarthria, ②subjects read on questionnaire the brief explanations about a Broca's aphasic, a Wernicke's aphasic and a dysarthria patient. In these three explanations typical symptoms of each disorder were described, ③subjects were asked to draw their own points on the line, from beginning put the patient mark on its one end, imaging the distance between themselves and each patient. The result was as follows. (1)Distance in mental image between subjects and the aphasic of Wernicke's type was significantly long comparing with each distance regarding Broca's type and dysarthria patient. (2)We did not find a significant difference between the distance regarding Broca's type and dysarthria patient. We considered that 1, students appreciate patients' abilities of certain degree for auditory comprehension, content expression and talking back and forth' 2, students possibly do not regard exactly the auditory comprehension disability of Broca's aphasics, 3, from the early stage of rehabilitation, Wernicke's aphasics are possibly taken in other's mind with a certain distance. We mentioned future attention points for instructing on language disorders.
- 2000-12-25
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