ジェームズ・ハットンの花崗岩観察へのこだわりと不整合の発見
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概要
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J. ハットンは地層の堆積の中断と構造的不調和をあらわす不整合の概念を初めて示した人として、また始原的岩石からなる基盤岩の形成について火成論の立場から解釈したことにより近代地質学の基礎を築いた人物とされる。しかし不整合の露頭を初めて見た時に彼が得た地質学的解釈は、その後地質学の基礎的概念として認識される内容にまで理解が到達したものではなかった。ハットンは野外の地層や岩石の観察から帰納的に地質学を理解しようとしていなかった。自然界の成立ちを地球を構成する循環システムとしてとらえており、そのシステムに運動エネルギーを与えるものが地下のマグマの働きであり、マグマが流動し周囲の岩石や堆積物を変形させる証拠にあたる野外現象を探し求めたのである。ハットンは始原岩石としての花崗岩が当時の一般的見解である沈積によるものではないことに気が付き、そのことを実証するために野外調査を行った。調査のどこで何を観察しようとしていたのかを理解することによってはじめて、ハットンが不整合の露頭を見つけ出し、不整合を現在の考えに近い意味で考えるようになった全体像をとらえることができる。 彼の思考のプロセスについては後に見つかった原稿で知ることができるなど、不明な点が未だに多い。グールド(渡辺訳,1990)による解釈やレプチェック(平野訳,2004)による新たな資料の提示により、より合理的な解釈が可能になりつつある。
- 2009-10-30
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