戦前タイにおける日本商社の活動 : 三井物産バンコク支店の事例
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概要
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戦前, 後発国としてスタートした日本では, 総合商社が政府と協力して日本の経済発展を担ってきた。これらの総合商社の海外支店は, 取扱商品・地域を多様化していくうえで大きな役割を果たした。本稿では三井物産バンコク支店の3 段階にわたる発展史を,本店の経営方針, バンコク支店の役割, 本店の経営方針遂行上バンコク支店が抱えた問題とその対応の3 点を中心に検証した。その結果, 第1 段階では, バンコク出張員はチーク材の日本向け輸出後発商社として新市場を開拓していった。業績不良により出張員廃止問題を抱えたが, 第一次世界大戦によって業績が向上し, 存続を維持することができた。第2 段階では, バンコク出張所は重工業化遂行のため, 米, 金物, 機械を中心に外国間貿易の拡大をはかった。現地における日本商社間の過当競争に対しては, シャム実業協和会に参加して組織として対応した。第3 段階では, バンコク支店は第二次世界大戦下で軍への協力方針のもと, 商社活動と拝命事業に従事していった。本稿の意義は, 海外支店が抱えた問題は海外支店で解決するといった, 海外支店の問題対応能力こそが, 本店の発展に大きな役割を果たしたことを明らかにしたことである。
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