名称論への学際的アプローチ-地名研究をケーススタディとして-
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概要
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本稿において我々は、岩手県に分布する地名の研究をケーススタディとして、従来の言語学においては等閑視され続けてきた名称論1)を学際的かつ、生産的な学問領域にするための一つの試案を提示する。2)固有名詞の中でも、地名は、音形と意味の間の「非必然度の一番低い部分体系」(柴田1978)である。それゆえ、地名解は認知言語学的必然性の観点からも、かなりの程度、検証に耐えうる研究対象なのである。しかも、我々が何の変哲もない地名として見過ごしている地名の中に(こそ)意外と、その命名者である人種/民族/地域住民たちの事物・事象に対するものの見方(認知パターン)やその土地固有で興味深い歴史や郷土文化を反映しているものが少なくないように思われる。さらには、和語地名として疑われることがない地名の中に、アイヌ語で付けられたものと推察できるケースが存在する。これらのことを、岩手県の広い地域に存在する「ヤマヤ」地名を中心に例証してみたい。次節では、アイヌ語による地名解を行う際に、その基礎となるアイヌ語の言語学上の特徴や地名解釈の方法論を概説する。つづく第3節では、第2節で確認した知見や方法論を用いて、具体的な地名分析を提案する。最終節は本稿で考察した内容を纏め上げ、今後の研究の方向性についても示唆する。
- 2008-02-21
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