宮沢賢治の童話の語法について-副助詞「くらい」の用法を中心に-
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概要
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宮沢賢治が童話を書く際に用いた言葉は「口語体」ではあるが、現在我々の用いている言葉とは少なからず異なる点が見られる。書き言葉としての「口語体」は、各地の方言なども参考にしながら、主として東京の言葉に基づいて作られたものであることは、すでに指摘されている。しかし、初めのうちはゆれも大きく現在の言葉と違うところも多かった。例えば、指定辞に関する試行錯誤(「だ」か「です」か「である」か「であります」か)は有名だが、他にも、打消の言い方などでも形はゆれていたし、また副詞や助詞などは、方言語形の豊富さのせいもあるのか、現在と用法が異なるものも多い。宮沢賢治の時代が、この書き言葉としての「口語体」が確立していく過程に重なっていることは前稿(小島2006)で述べたとおりである。宮沢賢治の童話にしばしば見出される現在と異なる語法についても、宮沢賢治に独特の言葉遣いである可能性もあるが、そうではなく当時の「口語体」そのもののゆれに起因するものである可能性も大いにある。どちらなのかを見極めるには、当時の「口語体」の状況も視野に詳細に検討する必要がある。そこで本稿では、宮沢賢治の童話に見られるいくつかの語について具体的な用法を確認し、宮沢賢治と同時代のもの、あるいは現在の使われ方と比較しながら、宮沢賢治の語法について考察する。
- 2008-03-21
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