中国白話短編小説「古今小説」の文体についての試論
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概要
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別名「諭世明言」と呼ばれる「古今小説」は,他の二編「警世通言」「醒世恒言」とともにいわゆる「三言」と総称され,すべて憑夢龍が編集した白話短編小説集である。これら「三言」のなかには編集者の憑夢龍自身が書いた作品もおさめられていると推測されているが,どの作品にも作者名が付けられていないために,どれが憑夢龍の手になる創作かを探り当てることに興味がかきたてられ,文体論の上から解明しようとする試みがなされてきた。たとえば,「警世通」のなかの「杜十娘怒沈百宝箱」(「杜」と略称)と「白娘子永鎮雷峰塔」(「白」と略称)の二作品を憑夢龍の創作とするのは<注1>,おそらくその主題内容の共通性をその根拠としているのであろう。また「古今小説」のなかの「蔣興哥重会珍珠杉」(「蔣」と略称)と「沈小霞相会出師表」(「沈」) と「滕大伊鬼断家私」(「滕」と略称)が彼の創作である可能性が強いとされるが,その根拠に両作品に特徴ある語彙や語法の傾向性をあげている<注2>。はたしてこれらの見解は文体論の上からしても決して十全の策を施しているとは言い難い。
- 岩手大学人文社会科学部の論文
- 1993-03-20
岩手大学人文社会科学部 | 論文
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