「家計調査」に基づく酒の消費の地域性
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概要
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日本における食文化の地域性に関する従来の研究は,方法的には料理に使用する素材や調理加工方法などの地域的遣いを定性的に調べる研究と,統計資料を用いて消費額・消費量の地域差を定量的に分析する研究とに二分される(山下 1992 p.115)。さらに後者には,各食物毎に作成した消費額・消費量の分布図に基づいて,食物毎の分布パターンやそれら相互の関連について論じた研究(山口1987, 鈴木・久保 1980など)と,多変量解析を用いて各食物に共通する主成分・因子を抽出し,それらの地域性を論じた研究(森 1983, 山下 1992など)がある。しかしそこで得られた分析結果は,同じ統計資料を用いている場合でも,研究によって必ずしも一致しない。つまり日本の食文化の地域性を規定している空間的次元にはどのようなものがあり,それほどの程度安定しているのか,また各々どのような意味を持っているのかがよく分からない。同じ統計資料を用いても分析結果が異なる理由として,分析方法が異なることと統計資料の扱い方に問題があることがあげられる。前者については,研究目的が食文化の地域性すなわち多数の食物間の空間的消費パターンの関連性の解明にある場合は,分布図を比較する際の主観をできる限り排除するためにも,多変量解析などの客観的方法を用いた方が良いことは言うまでもない。一方日本の食文化の地域性を把握する際に用いられる統計資料には,「家計調査年報」と「全国消費実態調査報告」の2つがあるが,いずれも利用上注意すべき問題点がある。しかしながら統計資料を利用する際これらの点にあまり注意が向けられていないように見受けられる。本論で用いた資料は「家計調査年報」であり,従来の研究でも「家計調査年報」の方がよく用いられているので,ここでは「家計調査年報」について述べることにする。
- 1997-03-28
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