韓国における初等・中等教育政策の現状と課題(1) ― 第7次教育課程を中心に ―
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概要
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現在の韓国における教育政策の根幹を形成するきっかけとなった「世界化・情報化時代を主導する新教育体制樹立のための教育改革案」に着目しつつ、本論文では、「韓国における初等・中等教育政策の現状と課題」のパート1として、同改革案を踏まえ新しく成立した教育課程におけるナショナルスタンダードである「第7次教育課程」の成立過程及び内実、そして課題について分析を試みている。「第7次教育課程」の特徴として「学習者中心」の教育を基本理念としており、それは、学習者の能力や興味を尊重する「水準別教育課程」として、他方で、国際化や情報化への適応を踏まえ、学習者が学習内容の選定や学習課程に能動的に参加する「自己主導的学習」として具体化されている。これらの学習はOECD主管の「生徒の学習到達度調査(PISA)」の結果においても優秀な成績を維持し続けている点から一定の評価をうけているが、一方で競争原理を導入した教育課程は、結果として塾や家庭教師などの私教育の増大を招いており、所得における階層間格差が、児童生徒の教育機会の不平等をもたらしている。また、個人の資質や適性に合わせた教育が実施されるべく教育課程において教科選択の幅を広げたものの、結果として大学入試を有利に進めるための手段となっている。同教育課程が目指す、基本理念を推進する際、教育の機会の均等をどのように確保していくかが課題となっている。
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