A Narrative of Kuki'iahu and its Erasures
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概要
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本稿では、1794年にハワイで起こったクキイアフという戦いを例に、抹消されていたネイティブ・ハワイアンの歴史上の出来事を再現し、その出来事を抹消した力がどれだけ強力なものであり続けてきたかを示していく。この作業は、サミュエル・マナイアカラニ・カマカウが著したRuling Chiefs of Hawai’i(1866)を基に行う。この本はネイティブ・ハワイアンが自らの土地を支配していた時代の著書であり、ネイティブ・ハワイアン中心の記述となっている。クキイアフとは、1794年にオアフ島で起こった、オアフ島の支配者カラニクプレと、カウアイ島・マウイ島・モロカイ島・ラナイ島の支配者であったカエオクラニとの間の戦いである。結果は、白人傭兵と彼らの軍艦の力を借りたカラニクプレの勝利に終わった。後のカメハメハ王のハワイ諸島統一にも影響を及ぼした、ネイティブ・ハワイアンの歴史上、重要な戦いである。戦いの舞台の一つとなったのは現在のパール・ハーバーであり、この地名はリリウオカラニの時代に別な事件で登場し、さらに1941年の日本軍の攻撃で有名になっているが、クキイアフについて知っている者は、今や殆どいない。歴史は誰のものなのか、誰が語り伝えていくのか、また誰が主体なのかが、その根底にある。ハワイの歴史が、ネイティブ・ハワイアンの手から別な者たちの手に移っていく過程で、クキイアフの抹消が起こった。本稿ではさらに、リリウオカラニの著書Hawaii’s Story by Hawaii’s Queen(1898)、ジョン・ドミニス・ホルトのWaimea Summer(1976)、ゲーリー・パクのThe Watcher of Waipuna and Other Stories(1992)、ロイス・アン・ヤマナカのWild Meat and the Bully Burgers(1996)を題材として、ハワイの文学作品を論じていくことで、植民地支配という状況下での文化的な作用、先住民の文化の喪失、自らの文化を取り戻していこうという試みなどについて明らかにしていく。また、多文化主義あるいはハワイの地元文化と、ネイティブ・ハワイアン中心の歴史抹消との関係についても検証する。
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