環境問題をめぐる地域協力--マルチレベル・ガバナンスの有効性
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概要
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本稿の目的は、マルチレベル・ガバナンスの有効性について、バルト海をめぐる多層的な環境問題に関する地域協力を、体制移行国であり2004年にEUに加盟したポーランドの視点から概観し、知見を得ることである。バルト海地域においては、冷戦体制化から現在に至るまで、ヘルシンキ委員会という環境問題についての国家間協力が存在する。しかし、1990年代以降、EUの東方拡大にともなって、多様かつ多層的な環境レジームが台頭してきた。このようなバルト海をめぐる環境問題に関する環境レジームの多層的なガバナンスが、EU加盟を目指してきたポーランドの環境政策にどのような影響を与えたのかを、検証する。結論として、バルト海地域の環境ガバナンスは、EU加盟のための作業に忙殺された国家を補完するものとしてポーランドの地方自治体の能力開発を促していることを明らかにする。また、拡大EUの枠を超えて、知識・ノウハウ・経験の共有および伝播を促すことで、バルト海沿岸地域の不安定要因を緩和する役割の可能性を認めることができる。The goal of this article is to inspect the effectiveness of Multi-Level Governance on environmental regional cooperation in the Baltic Sea Area from the viewpoint of Poland as a transition country and EU accession country. In the Baltic Sea Region, there is the Helsinki Convention that is a core international environmental regime. However, after 1990, with EU eastern enlargement, many environmental regimes have mushroomed. How such Multi-Level Governance affect the Polish environmental policy is examined.As conclusions, the environmental governance in the Baltic Sea Region is a complement to accession countries which are very busy to accept EU environmental acquis communautaire, and promotes the capacity building of Polish municipality's officials. Besides, because this governance system encourages the sharing and diffusion of knowledge, know-how, and experiences passing across EU border, it will be possible to solve the Kariningrad problem.
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