二人称指示における指示詞「そちら」についての考察 : 二人称名詞「あなた」との対照を通して
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概要
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「そちら」という指示詞は、どのような条件が揃ったときに、二人称指示に使用できるのだろうか。まず、当該の二人称指示が直示の動作的用法であることが必要である。その上で、指示主体と指示対象との人間関係が<疎>であるか、<疎>でない場合は両者が何らかの<対峠>関係にあることが条件である。人間関係が<疎>であれば、「そちら」の機能の一つである「指示の限定性の緩和」が丁寧さを強化するように働き、人間関係が<疎>でなければ、「そちら」のもう一つの機能である「彼我の分割」が両者の<対峠>関係を際だたせるように働くからである。本稿では、これらがそれぞれどのような条件の下で成立し、またそれぞれどのようなニュアンスを生み出すものであるのかを、様々なケースを挙げて考察していく。
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