落葉果樹の自発休眠に関する研究 : (1) 自発休眠期の開始、完了並びに自発休眠の深さについて : (II) 自発休眠と体内成分消長との関係について
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概要
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落葉果樹9種25品種を用いて、1950-1952に亘る37年京都市及び長野県伊都町に於て、枝条の自発休眠の開始期及び完了期、並びに休眠の深さについて調査した。(i) 1本の果樹に於ては枝条に依て自発休眠の開始期に早晩があった。(ii)落葉果樹の休眠開始期は梨、桃、スグリでは8月中、下旬、苹果、胡桃では8月下旬-9月上旬であるが、柿、栗、葡萄は自発休眠開始と同時に深い休眠(休眠中期〉に入る様である。(iii) 果樹の自発休眠の開始は枝条の頂芽が形成充実して後に起る。(iv) 自発休眠の最も深い時期即ち、休眠中期は果樹の種類で異り、柿、栗及び葡萄は9月下旬-10月下旬、梨及びスグリは10月中旬、苹果及び胡桃は10月中旬-11月上旬である。(v) 自発休眠の完了は開始と同様除々に行われ、旦つ果樹の種類に依って早晩がある。柿は12月下旬、梨、桃、栗、スグリ及び李は1月中旬、苹果はやゝ遅れて1月中旬-下旬、葡萄及び胡桃は1月下旬-2月下旬である。(vi) 自発休眠の完了は夫々の果樹に対し、低温に遭遇する時間の集積に依って引きおこされる。 45\以下の低温にては柿、桃、スグリ及び李は約1,000時間、梨、苹果及び栗は約1,400-1,500時間、胡桃及び葡萄は約1,800時間前後を要する。:桃、梨、苹果及びスグリを用いて1年を通じ,毎月1年生枝条の水分含量,可溶性無窒素物,全糖,還元糖,全窒素及び灰分を測定した。(i) 水分含量は自発休眠開始頃に著しく少し休眠完了頃から多くなっている。(ii) 枝条内糖分濃度が減少し,反対に澱粉及び全炭水化物の濃度が増加する頃から自発休眠が始まれ増加の極限に達する頃に休眠が最も深い。(iii) 春早く還元糖が増加する前に非還元糖が増加することは自発休眠完了と密接な関係があるものと思う。(iv) 全窒素は自発休眠開始頃に少し休眠中やや増加するが,自発休眠完了直後著しく増加する傾向を示している。(v) 灰分は自発休眠開始頃著しく少くなっている。(vi) 摘葉に依る一時的生長停止後の発芽には常に水分及び窒素の増加が先行している。
- 1953-05-30
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