翻刻『審訓清正実記』(1)
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概要
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『審訓清正実記』は、加藤清正の一代記として作られた通俗軍書である。架蔵本序文の署名に「竜地軒」とあることから、当時同様の通俗軍書や実録を書いていた豊田立耳軒(後の竜児軒)によるものかと想像できる。立耳軒作の通俗軍書や実録は、近世前期成立の諸軍書をもとに制作され、また近世後期に出版される読本や草双紙に大きな影響を与えた。いずれも写本で流通していくのだが、構成の綿密さ、人物の善悪の書き分け、その他、臨場感、心情描写の巧みさなど、娯楽小説として高い評価を付けられるものである。『審訓清正実記』には、所々に評注(本文に対して評あるいは注をつけた文章)が入り、そこには『太閤真顕記』や『石山軍記』等の書名が引かれ、これらの世界を前提とした語られ方がなされている。例えば、「曰、日吉丸、中村藤吉郎秀吉と名乗り、松下より此方、織田家に奉公して立身せし事は、『太閤真顕記』に委細載置たれば、爰に略す」といった具合である。清正とその家臣らの活躍を中心に、太閤記の世界を描き直した作品と言ってもよいだろう。逆に、清正の活躍しない戦いについては、あっさりと結果のみが記される。最初から朝鮮戦を意識した書き方になっているが、第一回目の朝鮮戦(文禄の役)が終わった時点で後編が終了し、完結に到っていない。本稿では、この『審訓清正実記』の前編巻一~十五を翻刻していきたい。
- 2009-03-25
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