当院における膵癌診療の現況 ~膵癌化学療法の文献的考察を加えて~
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概要
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市立室蘭総合病院における膵癌診療の現況について、retrospectiveに調査し、その治療成績を検討した。対象は2001年1月から2007年9月までに診断・治療した膵癌92例(術後再発例を含む)とし、背景因子、初回治療とその後の経過、遠隔成績等について検証した。全対象92例の背景は、男性/女性:59/33例、平均年齢69.6歳、初診時PS(performance status)0-1/2/3/4;68/17/5/2例、stageⅠ/Ⅱ/Ⅲ/ⅣA/ⅣB:4/2/7/23/56例であった。初回治療は、手術(切除/姑息/単開腹)/放射線化学療法/化学療法/BSC(Best Supportive Care):34(14/17/3)/3/22/33例であり、全経過中、なんらかの抗腫瘍治療を行った、抗腫瘍治療群は55例、BSC のみの群は37例であった。全例における生存期間中央値(MST:Median Survival Time)は259日、1年生存率38.4%、2年生存率10.4%、5年生存率8.7%であり、抗腫瘍治療群/BSC 群では、MST 338/129日、1年生存率38.4/24.3%、2年生存率19.2/-%、5年生存率8.0/-%であった。独立した予後予測因子は、多変量解析にて、初診時のPS、Stage、抗腫瘍治療の有無があげられた。また、化学療法群での検討では、Gemcitabine(GEM)投与群35例のTTP(time to progression)中央値は88日、GEM 開始後のMST は216日であった。また、GEM 投与後にS-1を投与した7例については、TTP 中央値は69日、S-1開始後MST は144日であった。
著者
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