集団感染事例における腸管出血性大腸菌O26分離培養法の検討
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概要
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2002年7月のほぼ同時期に2個所の保育園において腸管出血性大腸菌(EHEC)O26志賀毒素1(+)による集団感染が起こった。両保育園の園児,職員及びその家族の便832検体,保存食40検体,ふきとり21検体,計893検体の培養検査を行った。その結果,両保育園児47名(うち有症者21名),A保育園の職員2名(無症状),B保育園の家族5名及びB保育園の水遊び用組み立て式プール底のふきとり1検体からEHEC O26が分離された。本事例の検査結果を基に,今後同様な集団発生時の大量検体を効率的かつ正確に検査するために,分離培地及び増菌培地について検討を加えた結果,①セフィキシム・亜テルル酸カリウム加ラムノース・マッコンキー培地(CT-RMAC)がEHEC O26の選択性に優れていた,② modified Escherichia coli brothを用いた42℃18時間増菌培養の併用により,更に検出感度が向上した,③CT-RMACにセロビオースを添加することによりEHEC O26の選択性を向上させることが可能である,と考えられた。