Listening to the Voice of Silences: Animism in Jeannette Armstrong's Breath Tracks
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概要
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Jeannette Armstrong は、アメリカのワシントン州とカナダのブリティッシュコロンビア州の境界に生きるオカナガン先住民族の書き手である。1990年の詩集 Breath Tracks において、彼女は、先住民としてその生まれ育った大地とそこに生きる様々な生命とどのように関わり合い、生きてきたかを描いているが、その関係性を描くための素地となる Armstrong の自然観には、先住民族が伝統的に育んできたアニミズムという自然観が反映されている。本稿では、David Abram の言語論に言及しながら、アニミズムという自然観がつくりだす詩的言語の可能性について、Armstrong 自身の発言と、Breath Tracks にある数編の詩を中心に考察していく。特に、Breath Tracks に頻出する「沈黙」に着日し、自然界において人間には知覚できない「自然の言語」を、先住民の書き手として Armstrong がどのように言語化しているか、そして、その言諦化のプロセスの中で、Abramの説く「身体的言語(bodily language)」がどのような形で表出しているかについて分析しつつ、先住民の伝統としてのアニミズムからさらに進展した Armstrong のアニミズムとはどのようなものかについても考察する。