高知県土佐郡土佐町東石原毛知田における強度間伐によるスギ林の鳥類群集 II
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概要
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高知県土佐郡土佐町東石原毛知田の強度に間伐したスギ林において2007年に4回の鳥類の生息調査をした。また, その対照区として土佐町和田の未間伐スギ林において2007年に1回鳥類の生息調査をした。それらの結果は次のとおりである。 1) 強度に間伐したスギ林における繁殖期の3回の調査では23種の鳥類が出現した。そのうち, 個体群密度の値が高かったのはウグイスで7.51No./1km, 7.51No./1km, 6.72No./1kmなどであった。次いで個体群密度の値が高かったのはミソサザイで1.58No./km, 1.98/1km, 1.19No./1kmなどであった。また, 繁殖期における鳥類全体の生息密度は21.34No./1km, 23.32No./1km, 20.16No./1kmなどであり, 過去3年間よりはやや高い値は示すが, 他の地域のスギ林と広葉樹林との混交林に比べるとその値は低かった。 2) 強度に間伐したスギ林における非繁殖期の調査では, 6種の鳥類が出現し生息密度は9.88No./1kmであり, 過去3年間と同様に低い値であった。 3) 強度に間伐した東石原毛知田のスギ林の鳥類は, 2004-2007年の4年間に7目19科30種が出現した。そのうち, 今回の調査においてもカッコウ, オオアカゲラ, クロツグミ, オオルリ, ヤマドリ, アオジなど高知県指定による貴重な種が含まれていた。 4) 強度に間伐した土庄町東石原毛知田のスギ林の対照区として, 未間伐スギ林を含む土佐町和田のスギ林において繁殖期の鳥類を調査した結果, 8種が出現し, 生息密度は6.67No./1kmであった。ただし, この調査コースのうち未間伐スギ林内では鳥類が出現しなかった。 以上のことから, 東石原毛知田のスギ林における強度の聞伐は, 現段階では鳥類の生息環境にある程度の効果が表れていると言える。