圃場整備がトノサマガエルの生息に及ぼす影響
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概要
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2005年5月〜2006年5月にかけて香川県仲多度郡まんのう町造田の圃場整備を行った地区でトノサマガエル(Rana nigromaculata)が多数生息する原因を圃場整備の方法, 水田環境および生息数を調査することで明らかにしようとした。調査地は土器川中流域に開けた平地で圃場整備が1980〜2000年にかけて小規模に行われていた。この地区は土器川が中央を流れ, すり鉢状の地形で, 用水路は年中, 防火用水を確保するために土器川から水が導水されていた。コシヒカリが約9割作付けされている地区であったが, 内田地区では1.22〜2.39地点/ha, 造田地区では0.77〜1.74地点/haでトノサマガエルの生息を確認した。幼生や幼体の生息を確認した地点の環境では, 用水路より水田が低く, 水口を板で簡易に堰をし「中干し」中でも水田の水口に水溜まりがある水田が最も多かった。内田地区は306地点中92地点(30.1%), 造田地区は217地点中16地点(7.4%)で水口に水溜まりがある水田を確認した。これらの水田では水口にある水溜まりによって幼生の生息に及ぼす「中干し」の影響が小さくなっていた。