再販売価格維持行為の「古典的仮説」再考(II) : 「二重マージン仮説」と「小売店舗仮説」
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概要
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樫原正勝教授退官記念号論文本稿は,前編である拙稿(2007)に引き続き20世紀前半の再販売価格維持行為(RPM)に関する経済理論(「古典的RPM理論」)の枠組みから20世紀後半に生起した「諸仮説」のうち「二重マージン仮説」と「小売店舗仮説」を再吟味することを主要な目的としている。本稿では主に以下の事柄が論証される。「二重マージン仮説」は「古典的RPM 理論」が想定していない状況での企業行動を描写しているものの,当該仮説は「古典的RPM 理論」にとってアンチテーゼになっていない。また非効率な流通業者が保護されるという「古典的RPM理論」による批判は当該仮説に対しても有効であり,「二重マージン仮説」にとって本来最も強調されるべきRPMの社会的正当性は「古典的RPM理論」からの批判を免れ得ない。「小売店舗仮説」はRPMによって小売サービスが促進されるという暗黙の仮定を採用しており,その意味で既存のRPM正当化論と軌を一にしている。また仮に「小売店舗の確保」と「サービス競争の促進」を切り離した場合には,前者に限って言えば「古典的RPM理論」も製造業者が小売カルテルの要求に屈してRPMを採用する理由として認めているので「小売店舗仮説」は何ら目新しい内容を持たない。
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