農村における男女共同参画について : 大分県の家族経営協定の取り組みから
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概要
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近年、男女共同参画社会の実現に向けての意識が高まり、女性の地位や働く環境を見直す取り組みが始まっている。男女共同参画基本計画の11の重点目標のうち、4点目に、「農山村における男女共同参画の確立」が入っている。家庭経営協定の締結は農水省が力を入れて推進している施策であるが、協定の歴史自体は結構古い。その歴史を振り返れば、1960年代半ばくらいにまでに遡る。64年当時の農林省は、「家族協定農業の導入についてという通達を出した。これは農業経営者の確保・経常の近代化ねらいであった。その 2年後、農林水産省は「家族経営協定の普及促進による家族農業経営の近代化について」という通達を出し家族経営協定を政策の中に位置づけた。趣旨は各世帯員を経営のパートナーとして位置づけることを目指したもので、勢い、女性の地位向上などが図られることになった。 今日の農村女性が抱える問題の多くは、日本の農業、主に家族によって経営される農業が、経営や生活の境目が暖味なため、女性が男性と同じように農業に参加しても経営権がなく労働報酬もない上に、農業経営だけでなく家事や育児、介護といった役割も担っているケ-スが多く、女性にとっては、仕事の負担は大きいが、適正な評価が受けられていないという状況に由来する。こうした状況を跨まえ、1999年に制定された食料・農業・農村基本法では、26条において女性の参画の促進を明記している。その内容は、女性の農業経営における役割を適正に評価すること、女性の農業経営及びこれに関連する活動に参画する機会を確保するための環境整備の推進である。こうした、農村における男女共同参画に向けての取り組みは、農政だけでなく社会全体の男女共同参画に向けての取り組みとしても位置づけられている。