言語アナロジー推理のプロセス
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は,Pellegrino & Glaser ( 1980 )の提唱した言語アナロジー推理のプロセスについての2段階モデルを彼らと異なる視点に立って検証することを目的とした。このモデルによれば,「A:B::C:D」という真偽反応形式の言語アナロジー推理課題におけるパフォーマンスは,A,B項間の関係とC,D項間の関係の類似度に依存すると仮定される。類似度判断には,全体的類似度を判断する第1段階と,詳細な関係比較を行う第2段階があると仮定される。2段階モデルを検証するには,D_1(被験者の多くが第1段階で真反応することが期待される。),D_2(被験者の多くが第2段階で真反応することが期待される。),D_3(被験者の多くが第2段階で偽反応することが期待される。),D_4(被験者の多くが第1段階で偽反応することが期待される。)という4種類の選択肢を備えたアナロジー推理項目を用意する必要がある。大学生を被験者として3つの実験を行った。まず,モデルの検証に適したアナロジー推理項目を抽出するために意味関係の強さの評定実験を行った。ついで,モデルの検証実験として,真偽反応実験と2肢選択実験を行った。真偽反応実験では,被験者に4つの選択肢のいずれかを提示し,真偽反応を求めた。 D_1の真反応時間はD_2の真反応時間よりも短かった。また,D_4の偽反応時間はD_3の偽反応時間よりも短かった。2肢選択実験では,被験者に2個の選択肢(D_1とD_4,あるいはD_2とD_3)を提示し,アナロジーとしてより適切な選択肢を選択するように求めた。D_1とD_4の中からD_1を選択する時間は,D_2とD_3の中からD_2を選択する時間よりも短かった。これらの結果はいずれも2段階モデルを支持するものであった。
- 愛知教育大学の論文
- 1990-02-20
著者
関連論文
- 視覚障害児・者の単独歩行についての大学生の知識と援助行動
- 動物名によるアナロジー推理
- 養護学校における「介護等体験」が障害者に対する行動と気持ちに与える影響
- 単独歩行時の対人場面における視覚障害者の行動とストレス
- 言語アナロジー推理のプロセス
- 関係変動型のアナロジー推理のプロセス
- 関係固定型のアナロジー推理のプロセス ―正答表象形成モデルと関係比較モデルとの比較―
- 言語アナロジー推理項目の規準データ
- 言語アナロジ-推理項目の規準デ-タ
- プロフィ-ル分析による知的能力の発達的研究
- 知的能力のプロフィ-ル分析
- 現実自己と理想自己の差異の測定法について
- 方向感覚と空間表象
- 精神薄弱青年の自由再生記憶に及ぼす訓練効果