シンボリック相互行為論の生かし方をめぐって ―N.K.デンジンの批判的評価から―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
シンボリック相互行為論(SI)の特長・達成や限界・弱点を見極めながら、その視点や方法を現代社会分析にどのように活用していくかという問題関心から、N.K.デンジンのSI批判と刷新案を取り上げ、その批判的評価を通して、SIを今後に生かす方向性を考察する。「コミュニケーションと文化への批判的視点」の欠如という指摘などデンジンの批判には肯ける点が多く、また、SIのアイデンティティに固執せず他の理論方法との組み合わせを前提に質的研究の有力なツールとしてSIを生かそうという発想にも賛同できる。しかし、彼の提案する文化批判の研究プログラムや彼自身の最近の仕事には、相互行為論の特長が必ずしも生かされていない面が見られる。筆者としてはその路線よりも、彼のSI批判やカルチュラル・スタディーズの発想を組み入れつつ、意味の変容や創発を探る解釈主義的で相互行為論的なフィールド研究の展開を目指す方が、これまでの蓄積を踏まえつつSIを今後に生かす道としてふさわしいと考える。
- 東北社会学研究会の論文
東北社会学研究会 | 論文
- 書評 帯谷博明著『ダム建設をめぐる環境運動と地域再生--対立と協働のダイナミズム』
- リスク社会と連帯--アメリカにおけるローカル公共圏(locale Offentlichkeit)とリスク馴致 (特集 リスク社会と連帯)
- 書評 ロバート・D・パットナム著 柴内康文訳『孤独なボウリング--米国コミュニティの崩壊と再生』
- 自己組織的不平等の理論に向けて--エージェント・ ベースト・モデルと社会階層研究 (特集 社会階層と不平等への多様なアプローチ)
- コミュニケーションと行為選択--合理的選択理論によるコミュニケーションの分析 (特集 現代社会学におけるコミュニケーションの問題)