東京海洋大学品川キャンパス係船場の環境特性と貧酸素水塊改善の試み
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概要
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貧酸素水塊改善を目的として本学品川キャンパス係船場にてソーラーシーオアシス並びにマイクロバブルによる貧酸素改善実験を行った。また,実験を行う以前から係船場の環境特性を把握するため,水質の調査も行った。係船場の環境は東京湾と比べ水温が高く,塩分が低い。これは周辺にある芝浦水再生センターや品川,大井火力発電所の放流水の影響であることが示唆された。また,年間を通じて成層しており,底層の貧酸素状態は2006年5月-11 月,2007年6月-11 月に起きていた。ソーラーシーオアシスの実験では,装置内外のDO 差は平均で0.91 mg L-1高い値が示された。この差の変化は,取水口部分のDO とよく対応していた。マイクロバブルの実験では,空気流量が1.0 L min-1の場合には,径の大きな気泡が発生しその周囲のみDO が高くなったが,それと連動して底層の海水が上昇し海底付近では効果が見られなかった。空気流量が0.2 L min-1の場合には海水の上昇は確認されず,等密度面に添って緩やかに酸素を供給した。しかし,その量は貧酸素状態を解消するに至らず今後さらなる改良が望まれる。We conducted experiments using a Solar-Sea-Oasis (SSO) and a microbubble generator (MB) to improve hypoxic condition at mooring place in Tokyo University of Marine Science and Technology. Prior to the experiments, we measured water quality (temperature, salinity and dissolved oxygen concentration (DO)) to assess the hydrographic condition in this mooring place. Hydrographic parameters or recorded temperature and salinity in the area were higher and lower respectively, than those measured in Tokyo Bay (Stn. F3). These data indicate intrusion of effluent water from Wastewater Treatment Plant and Shinagawa and Oi Thermal Power Plant near the mooring place. Water column was stratified all year round and was hypoxic at the bottom during May-November 2006 and June-November 2007. In SSO experiments, the difference of DO between the inner and outer side of SSO apparatus was 0.91 mg L-1 in average. The trend of DO record traced at the SSO intake or the sea surface corresponded with that difference. When air flow rate was 1.0 L min-1 in MB experiments, DO near the sea bottom did not increase, due to large size bubbles rising from the bottom up to the upper layer. Conversely, the rising of bubbles was not observed, and DO modestly increased along same density layer when air flow rate was 0.2 L min-1. However it was not enough to improve hypoxia and further improvement is thus required.
- 2009-03-27
著者
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