『長崎土産』と『好色一代男』
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概要
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天和二年(一六八二)十月大坂で出版された『好色一代男』八巻八冊は、その後多くの風俗小説の出現をうながし、いわゆる浮世草子の創始を飾る作品として文学史の上でも画期的意味をもつ。その時代の欲望を表象する主人公「一代男」世之介は、どのような背景から生み出されたのか。『一代男』巻八の五 < 都のすがた人形 > は長崎を舞台とする一章であるが、本書執筆以前に西鶴の長崎来遊の足跡は認められない。そこで延宝九年(一六八一)刊の遊女評判記『長崎土産』の記事との比較をすると、巻頭の巻一の一 < けした所が恋のはじまり > 及び巻末の巻八の五 < 床の責道具 > の章との濃密な影響関係を指摘できる。すなわち西鶴は『長崎土産』の案内者「嶋原金捨」を原型として主人公世之介の出自・境遇・性格・趣味等の属性を付与し、造型したと考えられる。本稿は、両書の文章や構想・設定を具体的に比較・検討して、『長崎土産』が『一代男』の一原拠であることを考証する。
- 1995-03-27
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