法と政治の「外部」―オートポイエティック・システム理論の射程
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概要
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近年、法や政治を「オートポイエティック・システム」として捉えようとする、ニクラス・ルーマンの議論に対する批判が数多く登場してきている。それでは法や政治を自己完結的な(自己言及的に閉じられた)存在とみなすことになる。したがって、「世論」「道徳」「生活世界」といったより広いコンテクストに依拠して、「物象化」した法や政治を批判する可能性が排除されてしまうではないか。現代社会では、各システムの独立性(閉鎖性)の増大と同時に、外的コンテクストとのつながり(開放性)もますます重要になりつつあるはずである、と。だがオートポイエティック・システム理論の立場からすれば、開放性とは、各システムがそれぞれ閉じられている(共通点をもたない)がゆえに、相互に偶発的な契機を付与しうるところにのみ成立するのであり、その意味で開放性は閉鎖性の系なのである。むしろ「開放性」を強調する批判者たちのほうが、ある種の閉鎖性のうちに閉じ込められてしまっているのではないか。「法と生活世界」もまた自己完結的な「全体」として登場してこざるをえないのだから。この論点を、例えばケルゼン以来論じられてきた、「民主制の自己破壊」の問題に則して明らかにすることもできる。
- 1995-03-27
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