The Accuracy of Socket Orientation using a Pelvic Fixation Device for Total Hip Arthroplasty with the Patient in the Lateral Decubitus Position in Comparison to the Vacuum Bag Fixation Method
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概要
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Background. In our department,a vacuum bag with two lateral boards usedto be utilized in order to maintain patients in the lateral decubitus position during THA.However,we recently changed this modality to a three-point fixation device for the pelvisin order to accurately control the position of the acetabular socket. The purpose of thisstudy was to retrospectively compare the orientation of the acetabular socket when THAwas carried out using two different positioning methods.Methods. Group 1 consisted of 66 hips that underwent THA in 1997 using a vacuum bag,which became rigid with suction. Group 2 consisted of 42 hips that were treated in 2000using a three-point fixation device for the pelvis. This device was designed to able torigidly fix the bilateral anterior superior iliac spines and the sacrum. Before fixationwith the device,the angle between the line aligning the anterior-superior iliac spines andthe vertical plane in the lateral decubitus position was measured as the lateral pelvic tilt.The orientation of the fixed acetabular socket was evaluated based on postoperativeradiographs.Results. The average absolute value from 45 degrees in the abduction angle was significantlylower in group 2 than that in group 1 (p<0.01). In 18% of the cases in group 1,theanteversion angle was over 30 degrees. In contrast,no such cases were observed in group2. Postoperative dislocation occurred in six cases (9%) in group 1. In contrast, it onlyoccurred in one case (2%) in group 2.Conclusions. The positioning method using the pelvic fixation device enabled surgeons tomore accurately control the position of the sockets during THA comparison to using thevacuum bag. The positioning of the patient is therefore suggested to be an importantfirst step in successfully performing THA procedures.はじめに:人工股関節全置換術をするうえで,骨盤を確実に固定することは寛骨臼ソケット設置をコントロールする上で重要である.当科では以前,エアー抜き固定マットを用いた体位固定法を用いていたが術中骨盤の位置が変わることがあり寛骨臼ソケットの位置が充分にコントロールできていない印象があった.最近,両上前腸骨棘と仙骨にて固定する骨盤固定器を使った方法に変え,比較的良好にコントロールできていると思われる.今回,両方法による人工股関節全置換術をretrospectiveに比較し,寛骨臼ソケット設置が実際に改善しているかを検討した.対象:エアー抜き固定マットを用いた1群では1997年1~12月に行われた初回THA の症例を対象とした.骨盤固定器を用いた2群は2000年1月から12月に行われた初回THA を対象とした.固定前に水平にした手術台に側臥位の状態で両上前腸骨棘を結んだ線が前額面において何度傾いているかを測定した.つぎに骨盤が前後どちらにも傾かないように注意しながら,両上前腸骨棘と仙骨を骨盤固定器にて挟んで手術台に固定した.寛骨臼ソケットの設置位置は,術後3ケ月以内の臥位における両股関節正面像X 線写真にて外方開角と前方開角で評価した.また術後3年以内の術後脱臼の有無と再脱臼予防のために再手術した症例数についても調査した.結果:エアー抜き固定マットを用いた群では,外方開角の平均値は40°,骨盤固定器を用いた群は42°であった.45°からどれくらい離れたかを反映する45°からの差の絶対値はエアー抜き固定マットを用いた群では6.7°,骨盤固定器を用いた群では4.5°であり,骨盤固定器を用いた群がエアー抜き固定マットを用いた群に比べて,統計学的に有意に45°に近い外方開角となっていた(p<0.01).前方開角の平均値は,17.4°と10.4°であった.外方開角の分布については,40°から50°の間に設置できた割合は,エアー抜き固定マットを用いた群が46.9%であったのに対し,骨盤固定器を用いた群では76.2%と高い割合を示していた.前方開角の分布については,30°以上の過度の前方開角を示した症例の割合がエアー抜き固定マットを用いた群は18.2%と高い値を示しているが,骨盤固定器を用いた群ではそのような症例は全くなかった.術後脱臼については,エアー抜き固定マットを用いた群は,66股中6股で9.1%に起こっていた.外方開角50度以上が1例,40度以下が3例であった.再脱臼予防の為の再手術例が2例であった.骨盤固定器を用いた群では42股中1股,2.3%であり,その1例の外方開角は40度で,再手術例はなかった.考察:寛骨臼ソケットの外方開角については,骨盤固定器にて確実に骨盤を固定し,さらに骨盤の傾きを考慮することで,目標である45°に近づけることができたと思われた.前方開角については,大腿骨の前捻の程度により,必ずしも一定の角度を目標に設置していないが,30°以上の過度の前方開角を示した症例が,骨盤固定器を用いた群ではなく,前方開角についてもよりコントロールできていたものと思われた.人工股関節術後脱臼の原因は様々であるが,骨盤固定器を用いたほうが術後脱臼は少なく,比較的良好な寛骨臼ソケットが設置できたことがその一つの原因ではないかと思われた.結語:固定前骨盤傾斜測定を含む骨盤固定器による体位固定法は,寛骨臼ソケットの設置位置コントロールに有用であると思われた.
- 福岡医学会,Fukuoka Medical Associationの論文
- 2007-01-25
著者
-
神宮司 誠也
九州大学大学院医学研究院整形外科学
-
神宮司 誠也
九州労災病院整形外科
-
神宮司 誠也
九大・整形
-
林 哲生
九州中央病院整形外科
-
首藤 敏秀
九州大学 医学部整形外科
-
神宮寺 誠也
九州大学医学部附属病院 リハビリテーション部
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