地方病性牛白血病リンパ腫細胞における腫瘍壊死因子受容体の発現に関する研究
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概要
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リンパ増殖性腫瘍疾患およびレトロウイルス疾患の病態進行に腫瘍壊死因子(TNF-α)が重要な役割を演ずることが報告されている.そこで我々は29例の地方病性牛白血病(EBL)牛を用いて,腫瘍細胞での腫瘍壊死因子受容体(TNF-RⅠ,RⅡ)の発現パターンを免疫組織化学的に検索した.腫瘍組織は病理組織学的にDiffuse mixed type(10例),Diffuse large type(9例),Diffuse large cleaved type(10例)の3タイプのリンパ腫に分類され,牛リンパ球表面抗原に対するモノクローナル抗体を用いた腫瘍細胞のフェノタイピングでは,B-1a(CD5+/CD11b+),B-1b(CD5-/CD11b+),B-2(conventional B)(CD5-/CD11b-)の3タイプに分類された.興味深いことに,全ての症例の腫瘍細胞においてTNF-RⅡの発現タイプは認められたが,TNF-RⅠの発現は認められなかった.EBLでは組織学的,免疫フェノタイプで症例ごとに異なるリンパ腫が形成されていたが,TNF-Rの発現パターンは全てのリンパ腫細胞において統一性を有していた.細胞増殖反応を誘発するTNF-RⅡが全ての腫瘍細胞に発現し,アポトーシスを誘発するTNF-RⅠが発現していなかったという結果は,TNF-RがEBLにおいてB細胞の腫瘍性増殖とリンパ腫の形成に重要な役割を演ずることを示していた.
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