南アルプスに分布するヒノキ天然林のアイソザイム変異
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概要
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南アルプスの大井川,天竜川流域の各2集団計4集団について,平板ポリアクリルアミドゲル垂直電気泳動法により,6酵素種7遺伝子座のアイソザイム分析を行い,集団の遺伝的変異について検討した。分析した酵素種は,グルコース6リン酸脱水素酵素(G6PD),6-ホスホグルコン酸脱水素酵素(6PGD),グルコキナーゼ(GK),ホスホグルコムターゼ(PGM),アスパラギン酸アミノ転移酵素(GOT),パーオキシターゼ(POD)である。これら集団の平均ヘテロ接合体率は0.255,集団間の遺伝的分化の程度を示すCSTは0.019であった。すなわち,これらの集団の分化の程度は低く,似通った遺伝的特徴を備えていると判断された。また,本研究およびUCHIDAら(1991)の結果から,南アルプスの静岡県側に分布するヒノキ天然林全体について,集団間の分化の程度が低いことが推定された。The genetic variation of four natural populations of Chamaecyparis obtusa distributed around the South Japan Alps was investigated. Six enzyme systems with 7 loci were surveyed by polyacrylamide vertical slab gel electrophoresis. Surveyed enzyme systems were Glucose-6-phosphate dehydrogenase (G6PD), 6-Phosphogluconate dehydrogenase (6PGD), Glucokinase (GK), Phosphoglucomtase (PGM), Glutamate oxialoacetate transaminase (GOT) and Peroxidase (POD). Mean expected heterozygosity of the four populations was 0.255 and GST, which is an index of gene diversity between populations, was 0.019. The genetic distance between populations was 0.004-0.014 indicating that there is little genetic differentiation between these four populations. Based on the results of the present paper and UCHIDA (1991), we discerned that the natural populations of Chamaecyparis obtusa distributed around the Shizuoka Prefecture side of the South Japan Alps are hardly differentiated genetically.
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