ウダイカンバとダケカンバの冬芽の培養による植物体再生 : 培養開始時期および冬芽の枝上での位置の影響
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概要
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ウダイカンバ及びダケカンバ冬芽を供試体としての培養を行った。培養試験は,外植体として用いる冬芽の,採取時期及び枝上での位置の違いによる,シュートの伸長経過の違いを検討した。それぞれの樹種2個体について,10月下旬から3月下旬まで,ほぼ1ヵ月おきに6回にわたり,時期をかえて培養を行った。改変ANDERSON培地にBAP(6-benzylaminopurine)を1.6mg/l添加した培地に,鱗片を除いた冬芽を置床し培養した結果,両樹種についてつぎのことが明らかになった。1)培養開始時期が遅くなるにつれて,シュートの形成が悪くなる傾向が認められ,両種共1月以降の培養ではシュートは得られなかった。すなわち,発根培地に移殖可能なシュートを得るためには,北海道においては遅くとも11月下旬までに培養を開始する必要があり,効率的な増殖のためには,本試験の範囲では10月下旬の培養が適当である。これは,静岡での試験との関係でみると,冬芽形成後月平均気温が5℃を下回らない時期が適当であると示唆される。2)シュートの形成及び伸長は,枝の上部に位置する冬芽では旺盛であったが下部の冬芽からは少なかった。この結果,ウダイカンバでは一年生枝先端の仮頂芽及び2番目の冬芽を,ダケカンバでは仮頂芽のみを用いた場合に,良好なシュートの形成が期待される。なお,シュートの伸長は個体間差が大きく,新しい個体の培養に際しては,培地に添加するBAPの量などの培養条件について,個体毎に検討が必要である。3)両樹種とも,10mm以上に伸長したシュートを切り取って改変したANDERSON培地に,IBA(Indolebutylic acid)を0.5mg/l,NAA(α-naphtylacetic acid)を0.02mg/l添加した発根培地に移植することにより,発根個体を得ることが出来た。これにより,ミズメ,ウダイカンバに次いでダケカンバにおいても冬芽の培養による,植物体再生が可能であることが明らかになった。Effects of seasonal and positional difference of winter buds on shoot elongation were examined in vitro winter bud culture of Betula maximowicziana REGEL and B. ermanii CHAM. Two 30-year-old mature individuals growing in the university forest in Hokkaido were used as the source of explants for each species, respectively. Inoculations were carried out six times from October, 1989 to Mach, 1990 at an interval of about a month. Winter buds which scales had been removed were cultured on modified ANDERSON's medium with 1.6mg/l of BAP (6-benzylaminopurine). Shoot formation and elongation was reduced with the advance of inoculation season. It was concluded that winter bud culture of these two species should start at the end of November at latest. And the end of October was thought to be most favorite time for starting culture as far as this experiment concerned. Active shoot formation and elongation was expected from winter buds which were attached on the upper part of one-year-old twigs. Then upper two winter bud including pseudo-terminal bud for B. maximowicziana and only pseudo-terminal buds for B. ermanii supposed to be appropriate for the explandts. Shoot elongation varied seriously from indiviaual to individual in both species. There-for experiments for determination of appropriate culture conditions such as concentration of BAP would be necessay for the propagation of new individual. Shoots which elongated over 10mm were cut and placed on rooting medium which was modified ANDERSON's medium containing 0.5mg/l of IBA (indolebutylic acid) and 0.02mg/l of NAA (α-naphtylacetic acid) after 90 days of inoculation. Rooting were occurred in both species and regenerated plantlets in a few weeks. This is the first report of in vitro plantlet tegeneration of B. ermanii.
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forests,東京大学農学部附属演習林研究部,静岡県林業技術センター,Research Division of The University Forests, Faculty of Agriculture, The University of Tokyo,Shizuoka Prefecture Forestry Technology Centerの論文
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