森林伐採または森林生長が流出量におよぼす影響の検出法に関する考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
以上を要約すれば次の通りである。(1)年流出量は主として年雨量に関係し,そのありさまは年雨量約1,500mm以上では直線的である。これはとくに新しいことではないが,換言すれば流出量は雨量に対し回帰直線をもつているといえる。この回帰という見方から出発して対照流域法の意義が明かにされる。(2)単独法や平行法では,観測値調整の標準がほとんどないが,対照流域法では,対照流域から採られるdataが,統計的管理として用いられ観測値の調整に役立つのである。(3)対照流域法で回帰直線を用いるのは,雨量に関係のない流出量自身のバラツキを求めるためである。換言すれば,人工的になくすことのできない雨量の変動を対照流域によつて見出しこれを利用して,実験的に雨量の変動を無くしたと同じ効果を得るためである。(4)流出率の比較は元来,等しい雨量の場合にのみ正しい意味があるのであつて,雨量が異る場合の流出率は,若し雨量が等しくなつたら流出率ほどう変化するかという推定を行つた後に比較されねばならない。この推定は流出量の雨量に対する回帰直線を用いて行い得る。(5)ある流域が他の流域に対し,対照流域として価値があるかどうかは,流出量自身のバラツキを当該流域の雨量に基いて計算した値と,他流域の流出量に基いて計算した値とを比較してみればわかる。(6)流出量自身のバラツキは,近似的には消失量のバラツキ,あるいは対照流域の流出量との差のバラツキとして計算することができる。(7)この方法によれば,東京大学農学部附属愛知県演習林内の東山,白坂2流域は約2.5km以上の距離にあるにもかゝわらず,月流出量を用いる研究のためには,相互に対照流域となり得ることが明らかとなつた。This paper deals with the principle of "control area method" in forest and water experiment and its illustrative examples. In the control area method two (or more if desired) areas are used for experimental comparison. At the beginning they have forest conditions similar to each other. After a certain period forest cutting or some planed treatment is to be conducted leaving the forest condition of one area untouched for the purpose of control.
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forestsの論文
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forests | 論文
- ニューギニア産マトアの材について
- 北海道演習林におけるトドマツ生立木材質腐朽について
- 古軌条を利用した軌道橋並びに自動車道橋の標準設計
- 秩父演習林における間伐試験地直径生長資料
- 北海道演習林における林木育種研究40年史 : 100周年記念資料10