東京大学農学部附属千葉演習林袋山沢水文試験地の水収支解析
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概要
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東京大学農学部附属千葉演習林内に開設された袋山沢水文試験地(A,B,C流域)において,地形測量,土層厚分布測定及び降水量,流出量観測を行った。流域の地質は新第三紀層砂岩泥岩互層で,植生は1929年植栽のスギ,ヒノキ人工林である。それぞれの流域での流域面積と平均土層厚は,A流域0.802ha,2.87m,B流域1.087ha,2.22m,C流域2.029ha,2.44mであった。地形的な特徴としては,流域内の土層厚が0mから10mまでの範囲で分布していること,基盤地形では流域境界が明瞭でない個所が存在することが挙げられる。1993年9月より1996年8月の観測データより,降水量が最大と最小になる連続した12ヶ月間の降水量,流出量はそれぞれ,降水量が最大の場合(2298.6mm),各流域の流出量は,A流域924.6mm,B流域873.1mm,C流域925.1mmであり,降水量が最小の場合(1502.6mm),A流域421.7mm,B流域413.4mm,C流域439.8mmであった。降水量から流出量を減じた損失量は,C流域で最大1373.4mm,最小1062.8mmであった。The authors reported on the water balance of the Fukuroyamasawa experimental watersheds (A, B and C) from Sep. 1993 to Aug. 1996. These watersheds were established in University Forest in Chiba, Faculty of Agriculture, The University of Tokyo in 1991. The bedrock of this watershed is formed from layers of sandstone and mudstone of the Tertiary. The watersheds are covered with dense manmade forests of Sugi (Cryptomeria japonica) and Hinoki (Chamaecyparis obtusa) planted in 1929. The results of a topographical survey show that the watershed area and the mean soil depth of the A, B and C watersheds are 0.802ha, 2.87m; 1.087ha, 2.22m; and 2.029ha, 2.44m respectively. The soil depth varies from 0m to 10m. The boundary of the watersheds is uncertain in view of the contour map of the hydrological base. By three years observations, we ohtained the following results on the water balance. The maximum and minimum continuous twelve month precipitation were 2298.6mm and 1502.6mm respectively, while the maximum and minimum continuous twelve month runoff were 924.6mm and 421.7mm in the A watershed, 873.1mm and 413.4mm in the B watershed and 925.1mm and 439.8mm in the C watershed. The annual loss calculated by subtracting annual runoff from annual precipitation computed by shifting water balance analysis varies from 1062.8mm to 1373.4mm in the C watershed.
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forests,東京大学大学院農学生命科学研究科森林科学専攻,東京農工大学農学部,株式会社プレック研究所,東京大学農学部附属演習林千葉演習林,Department of Forest Science, Graduate School of Agricultural and Life Sciences, The University of Tokyo,Faculty of Agriculture, Tokyo Univerの論文
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