視覚障害者によるGPS付携帯電話による登下校状況通知システム実地評価
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概要
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GPS機能付携帯電話が,視覚障害者の登下校時の安全確保に利用できるかどうかを調べた。本研究で使ったGPS付携帯電話に組み込まれたソフトウェアの機能は次の通りであった。(1)携帯電話所持者の移動の軌跡をサーバーに保管し,学校の管理者と保護者はそれを見ることが出来た。(2)指定された移動領域から携帯電話保持者が外れたり,設定した時間以上に一定場所に長くとどまると管理者と保護者にそのことがメールで発信された。(3)緊急時に簡単な操作で危険を知らせるメールを発信できた。6名の視覚障害者(12歳〜41歳)はこのGPS付携帯電話を数日間(5日〜26日)所持した後,この携帯電話の機能と,使い心地と,所持することによる安心感を質問された。その結果,携帯電話を持つことによる安心感を示したのは二人だけであった。携帯電話所持者がいる位置をリアルタイムで知る機能について保護者は肯定的にとらえた。携帯電話の操作が簡単であることとバッテリーの持続時間が長いことが必要であると指摘された。ソフトウェアを改良する必要が残るが,視覚障害者の登下校時の安全確保にGPS付携帯電話を利用する価値があると考えられた。It was studied if a mobile phone with a GPS function can secure safety when a visually impaired student goes to and leaves school. The software installed in GPS mobile phones used in this study had the following functions of (1) keeping and saving track of a mobile phone bearer so that the administrator at school and the parents could see that, (2) of sending mail to the administrator and the parents when the bearer was out of an designated area or when the bearer stayed at one location longer than a given time, and (3) of sending alarm mail from the bearer by simple operation. After using such GPS mobile phones for several days (5 to 26 days), 6 visually impaired (ages 12 to 41) were interviewed regarding usability and the feeling of security given by the mobile phone. According to the results, only two subjects answered they felt secured when they carried the mobile phones, while parents evaluated favorably the mobile phone function of informing locations on a real time basis. It was pointed out that mobile phone operation should be simple and battery should last for a long time. The software needs to improve, nevertheless, it is deemed that visually impaired students' carrying GPS mobile phones has value when assuring the safety of them when they go to and leave school.
- 2008-02-29
著者
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