GISによる視覚障害者歩行環境の記述(2)
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概要
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新谷・山本(2006)は,視覚障害者の移動する領域の道路に歩きやすさ得点をつけ,それをGIS(Geographical Information System)を使って地図に表記し,地図を見た晴眼者が歩きやすい道を視覚障害者に伝えることができるようにする方法を検討し,道路評価システムを開発した。本研究では,この道路評価システムで示された視覚障害者の歩きやすさ度と歩行訓練士の道路評価とが比較された。10名の歩行訓練士が研究に参加した。研究の結果,歩行訓練士の評価と道路評価システムの評価との間に強い相関があることが示された。また,道路評価システムに基づいた道路評価得点と歩行訓練士の評価得点の相関は,視覚障害者の評価得点を使った場合よりも高かった。本研究結果は新谷・山本(2006)の作成した視覚障害者用道路評価システムが環境を機能的に評価できることを示した。また,研究を通じて示された「視覚障害者にとって歩きやすい道路」についての視覚障害者と歩行訓練士の意識のずれが考察された。 Shintani and Yamamoto (2006) developed a road evaluation system whereby the roads located in the areas that visually impaired individuals travel were evaluated in accordance with walkability and walkability scores of such roads were plotted on a map using GIS (Geographical Information System), so that a sighted person checks the map to inform a visually impaired person of the roads which are easy to walk for the visually impaired. In this study, the walkability for the visually impaired represented by this road evaluation system was compared with the road evaluation made by orientation and mobility specialists. Ten orientation and mobility specialists participated in the study. The results showed strong correlations between the evaluations by the orientation and mobility trainers and those by the road evaluation system. The scores given to roads in the road evaluation system showed stronger correlations with those by the orientation and mobility specialist than with those by the visually impaired. The results proved that the road evaluation system developed by Shintani and Yamamoto (2006) for the visually impaired can evaluate environments functionally. The perception gap regarding the "roads with good walkability for the visually impaired", which was found between the visually impaired and the orientation and mobility specialists in this study, was additionally discussed.
- 2007-09-28
著者
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