高齢者雇用の増加と定年制の機能変化 : 2004年改正高年齢者雇用安定法の影響を中心に
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概要
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日本は2007年の時点で、既に世界一の高齢社会に達しているだけでなく、今後の高齢化も急速に進展する見込みで、2050年には高齢化比率は39.6%に達すると推計されている。そのため、介護や年金問題だけでなく、高齢者雇用もまた焦眉の課題となっている。2004年に改正された高年齢者雇用安定法は、65歳までの雇用確保を企業に義務付けた。その結果、ほとんどの企業は65歳までの雇用確保措置を実施しているものの、6割の企業は60歳定年時に高齢者を選抜、査定して雇用延長を図っている。高齢者雇用の社会的必要性とは裏腹に、65~69歳層、とりわけ男性高齢者の労働力率は長期的には低下傾向にある。その理由は年金額が充実したにもかかわらず高齢者労働市場での賃金水準が抑制されていることにある。今回の高年齢者雇用安定法によっても、60歳代後半層の就業率低下を食い止めるのは難しい。また定年制については、改正高年齢者雇用安定法によって65歳まで雇用確保されたため、その意図せざる結果として、集団管理の性格を持っていた定年制の機能が薄れた。定年制は雇用保障機能と解雇機能の両側面を持つが、定年年齢が曖昧になり、定年前後の雇用が個別管理の中で実現されるようになったため、とりわけその雇用保障機能の低下が目立つ。定年制は集団管理を旨とする日本型雇用システムの重要な柱であるが、定年制の機能変化によって、日本型雇用システムもまた改変されつつあるといえよう。
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