日本語学習者の書く文章のわかりにくさについて : 言語的側面と認知的側面からの原因分析
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概要
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日本語学習者の文章の分かりにくさについては、言語的側面から「文章の構造、文と文の連接、文の長さ、文の構造、結束性」の問題点を探るものが多い。しかし、文章の分かりやすさ/分かりにくさは、読み手の認知的判断であることから、本研究では「認知的側面からみた文章理解の観点」についての研究も考察した。その結果、次のようなことが明らかになった。読み手にインプットされた文章の情報は、短期記憶、長期記憶の順に処理される。長期記憶の中には、形式スキーマと内容スキーマがあり、形式スキーマを活性化させる段階で理解を妨げる要因がなければ、読み手は文章に関する内容スキーマを活性化し、推論を行う。その後、情報は、必要によってリハーサルを通して長期記憶として貯蔵され、さらにスキーマとして蓄積される。しかし、形式スキーマの段階で読み手の理解を妨げる要因があれば、内容スキーマを活性化することができなくなる。すなわち、読み手が内容スキーマを有していると仮定すれば、読み手が読みにくいと判断するのは「形式スキーマ」の段階である。また、形式スキーマを活性化する段階で読み手が分かりにくい状態に陥る原因は「結束性」という言語的要素である。
- 2006-12-25
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