ピラン環の開環による縮合型タンニン分子構造の修飾
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概要
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本論文は、樹皮の主要成分である縮合型タンエンの三フッ化ホウ素<special>(BF3)</special>-フェノール糸による新たな分子構造の修飾法と構造解析法について研究し、さらに本修飾法による生成物の特性及び機能を解明することにより、新たな高度利用の可能性を提示したものである。第1章では、縮合型タンニンの単量体である(+)-catechinを<special>BF3</special>-フェノール試薬で処理した際に、高収率で生成するピラン環開環型フェノール付加物をはじめ数種の生成物の化学構造を明らかにした。さらに、各種反応溶媒と酸触媒の影響について検討を加え、フェノール付加物の生成が<special>SN2機構</special>で進行すること、また<special>BF3</special>の高触媒活性能は反応サイトとのアクセシビリテイーの強さに起因することを明らかにした。第2章では、天然の縮合型タンエンに存在するピラン環の開環度の新解析法としてメチル化-核交換反応を確立した。すなわち、構造既知の合成縮合型タンニンのモデル化合物を用いて本手法によるピラン環構造の定量的解析が可能であることを確認し、これを開環度未知のタンニンに適用したところ、特にケブラチョタンニンではかなりの頻度で開環していることを初めて明らかにした。よって、本分析法は高分子領域も含む天然タンニンのピラン環に関して新たな情報を提供できることが明らかになった。第3章では、分子量、ピラン環の開環度などの構造解析結果から、樹皮タンニンのフェノール化挙動はflavan-3-ol単位の水酸基パターンによって大きく異なることを明らかにすると共に、フェノール化変性によりA-環の求核性が大きくなり、室温でのホルムアルデヒドとの反応が向上することを示した。また、樹皮タンニンのグルコシルトランスフェラーゼ阻害活性は緑茶及びウーロン茶由来のタンニンのものよりかなり高く、分子量が増加するに従い阻害活性が向上すること、ならびにフェノール化変性物は分子量低下の割には高い阻害活性を維持していることを明らかにした。
- 1996-03-01
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