19世紀フランスにおける労使の団体形成と労使関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
フランス大革命は封建的諸権利を廃棄し個人を解放するとの理念のもとに,中間諸団体とくにギルドを解体し,その再生を禁じた。とくに労働者の団体結成は「経済的自由主義」の原則と治安の観点から厳禁されたから,長らく正常な労使関係は構築されなかった。本稿はこのル・シャプリエ法下における労使の団体形成を,資本主義経済の歩みと絡ませて考察する。経営者団体の結成で先鞭をつけたのが北部と東部の綿業経営者であるが,その結集の理由は専ら「プロテクショニスム(保護貿易主義)」である。プロテクショニスムはフランス経営者の一体質となる。次いで労働者の団体形成を,19世紀初期の職人組合と互助組合,第二帝政期のボナパルティスムの「寛容」政策下での労働組合会議,さらに第三共和政期の「職業組合法」の下での労働組合の誕生まで概観する。こうして労使双方の団体が結成されたが,両者はなかなか相手の存在を認めず正常な労使関係を築けなかった。19世紀末に澎湃として起こる革命的サンディカリスムの嵐は,労働者階級を認知しようとしないフランス経営者への敵意の現われと云える。そこに調停者としての公権力の介入が要請されてくる。本稿は,正常な労使関係の構築が遅れた理由を,大革命にまで遡り,さらに19世紀の労使双方の歴史的事情のなかに探った。
論文 | ランダム
- ラット頸動脈バルーン血管障害モデルにおける血管壁ナトリウム利尿ペプチド系(VNPS)の遺伝子発現 : 第58回日本循環器学会学術集会
- ソフトウェア開発プロセスのサービスモデルとその実行環境の提案と評価
- 巻頭インタビュー 道路行政の環境変化と今後の対応
- 喫煙依存の分子メカニズムと遺伝子多型 (特集 喫煙と内科疾患--エビデンスと対策)
- 気管支鏡下マイクロサンプリング法 (呼吸器疾患の臨床検査up to date) -- (内視鏡)