近年の環境政策の契約理論的考察
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概要
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近年,契約理論や法と経済学の分野では,ピグー税を中心とした従来の環境政策の経済学的な考え方に対して,情報の非対称性の問題やエンフォースメントの制約等の問題を考慮して修正を試みてきた。それらの研究によって,情報を適切に開示させるようなインセンティブ設計を導入することが望ましいことが明らかになってきた。例えば,非対称情報下の独占企業への環境政策では,被規制企業に対して一定の選択肢を提供するメニュー型規制を提示することが望ましい。また,多数の企業が存在する場合,一定税率のピグー税を課すよりも排出権とピグー税の併用や非線形の排出権価格設定など,従来の環境政策を一部修正することが望ましいことが示されている。このように,近年の契約理論的な環境政策の検討は,適切な環境政策のインセンティブ設計のために不可欠の分野となっている。本論文では,このような環境政策に対する契約理論や法と経済学の研究のうち,独占企業に関する環境規制の部分を2-typeモデルを用いて詳述するとともに,他の部分の取り組み状況については各研究論文を体系的に整理し,今後の課題を提示する。これによって,より効率的な環境政策実現にむけた取り組みの礎としたい。
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