パプアニューギニア産ブユSimulium (Morops) kaitiの雄成虫の外部生殖器および蛹腹部の形態についての補遺
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概要
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1982年9月,ニューギニアのニューアイルランド島で採集したブユの蛹(蛹から羽化した雄成虫を含む)と幼虫の形態と観察した.その結果,蛹は呼吸管基部の小孔(pit-like organ)の大きさとマユの性状などから,Simulium属のMorops亜属に属するS. (M) raunsimnaeと類似していた.一方,幼虫はpostgenal cleftの形・大きさ,およびhypostomial setae数などから, S. (M) raunsimnaeよりむしろその近似種のS. (M) avilaeに似ていた.しかしながら,羽化した一個体の雄成虫は一部の形質でS. (M) raunsimnaeを共通するものの,翅長や腹部第2節の色彩などから,ニューアイルランド島から唯一の既知種であるS. (M) kaiti(雄成虫のみから記載)と同定した.したがって今回同一水系から採集した標本は,別の類似種が含まれている可能性は否定できないが,これまで不明であったS, (M) kaitiの蛹と幼虫と思われる.Morops亜属は元来,オーストラリア区に固有のブユであるが,最近東洋区のフィリピン諸島にも分布することが報告された(Takaoka, 1983).しかしながら,興味深いことに,同じ亜属に属しながら両者間にはいくつかの基本的に重要な形態上の差異が見い出されている.今回, S. (M) kaitiと同定した標本を詳細に検討した結果,1)雄成虫の外部生殖器の ventral plateの後面が無毛で裸出する,2)蛹の腹部末節に多爪錨に似た小鉤を欠く,また末端にある一対の鉤は通常の錐状を呈する,など,新たにフィリピンのMoropsの種類とは異なる形態的特徴が認められたので報告した.The reared male, pupae and larvae of blackfly (Diptera:Simuliidae) collected from Danfu, New Ireland, Papua New Guinea, in 1982, were provisionally identified as Simulium (Morops) kaiti Smart & Clifford, 1965. A close examination disclosed a few previously unreported characters for the Australasian Morops species: 1) the posterior surface of the male ventral plate is completely bare, 2) the last pupal abdominal segment lacks the grapnel-shaped hooklets, and 3) a pair of pupal terminal hooks are of usual cone-shape.
- 1984-06-30
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