肺吸虫症に関する研究-2-
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概要
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著者は長崎県及び熊本県天草島の肺吸虫浸淫地のV.B.S.皮内反応の陽性者,疑陽性者512名に胸部レ線撮影を行い,次の所見を得た.1)肺結核と診定できるものを除き,130名,25.4%の高率に異常所見を認めた.陰影は概ね中下肺野に集中し,右肺に偏在する傾向がみられる.2)陰影の出現率は反応疑陽性者より陽性者に高く,年令からみると,小学1,2年の低学年に高い.低学年ではツ反応陰性の有所見者が多い.3)陰影の種類は輪状影15.9%,結節影15.7%のほか,浸潤影28.0%,肋膜病変22.5%が最も高率で,肺吸虫症初期の病変として重視される.浸潤影はBithionolの治療により改善されるものが最も多い.4)肺吸虫卵検出率は有所見者にその率が最も高い.陰影別にみると結節影73.3%,輪状影71.4%で最も高く浸潤影の55.2%がこれに次ぎ,索状影,石灰沈着のみの例でも夫々23.5%,50.0%に虫卵がみられている.肋膜病変は13.6%でその虫卵検出率は最も低い.稿を終るにのぞみ,御指導御校閲を賜った恩師片峰大助教授に心から感謝の意を捧げる.又レ線解読について始終御示教御協力を仰いだ放射線科玉木正男教授,当研究所の村上文也助教授,レ線撮影に御協力頂いた放射線科医局,県衛生部,厳原保健所,松浦保健所及び熊本県本渡保健所の各位に厚く御礼申上げる.本研究は文部省科学研究費(肺吸虫総合研究班)の援助を受けた.こゝに附記して謝意を表する.Chest X-ray photographs of the school children without subjective symptoms who were sensitive to the intardermal test with a paragonimus extract (V.B.S.), were taken in order to investigate the X-ray findings in earliest stage of the lesions due to parago
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長崎大学風土病研究所 | 論文
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