1965年,長崎県における日本脳炎流行の疫学的研究-1〜3-
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概要
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1965年,長崎県の人のJE流行について,蚊よりのJEV分離,屠場豚HI陽性率の季節的変動の観察,JE届出患者の血清学的確認等を実施し,蚊,豚,人のJE感染の時間的,空間的関連性を検討し,次の所見を得た.1) 1965年の長崎県の人のJE流行は,大きい流行であった事が,届出患者の血清学的検査によって証明された.2)この人の流行は,県下各地区の飼育屠場豚の血中HI陽性率の上昇を指標として観察した各地区のJEV撤布開始時期と極めてよく一致して時間的,空間的に進行した.即ち,各地区共,その屠場豚HI陽性率の上昇後2~3週間して,人のJE確認患者の発生が始り,先ず,県本土南部地域の長崎地区,島原地区より開始して,県本土南部地域より北部地域へ向って連続的に波及北上する様相が伺はれた.離島地域では,五島地区が県本土地域よりかなり遅れて始り,壱岐,対馬地区は,これより更に遅れた.3) 1965年の長崎県,愛野町におけるC. tritaen.よりのJEV分離開始時期や,島原地区,諫早地区飼育屠場豚のHI陽性率上昇開始時期,更に県下の人のJE確認初発患者の発生時期は,何れも同年の我国の他府県におけるこの種調査報告に比べ最も早期であった.4) 1964年と1965年,両年の長崎県における人のJE流行規模の大小に対し,愛野町において観察したC. tritaen.の季節的消長と,その過程に表れたJEV保有蚊の出現の早晩との間には,一定の相関性があると思われる.擱筆に当り,御助言,御校閲を賜った風土病研究所福見秀雄教授,並びに,未公刊資料の御教示を受けた大森南三郎教授,林薫助教授,及び御協力御鞭達を賜った長崎県衛生部,福田千代太部長,渋江有明課長はじめ関係者各位に深甚の謝意を表する.The observations on correlation among human epidemic, mosquito infection and swine infection with Japanese encephalitis (JE) virus (V) in Nagasaki prefecture in the 1965 season were carriedout by the serological confirmation of the reported cases of the o
- 長崎大学風土病研究所の論文
- 1966-03-00
長崎大学風土病研究所 | 論文
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