腸炎ビブリオに関する研究-4-ハワイ諸島南方の外洋の魚類ならびにホノルルの魚類,海泥における腸炎ビブリオの分布について
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概要
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昭和40年8月長崎大学水産学部の長崎丸に便乗し,中部太平洋ならびにハワイ方面において腸炎ビブリオの分布調査を実施した.180°からホノルル方面にかけて延縄により捕獲された魚類17尾からは本菌が12株分離せられ,熱帯地方の外洋における本菌のかなり濃密なる分布を明らかにした.ホノルルでは沿岸の海泥砂10検体および一本釣捕獲の魚類9尾からそれぞれ4株と2株が分離できたが,この結果太平洋上の島の周辺海域にも本菌が棲息していることが実証せられた.本菌を真の海洋細菌であるとする見方よりも陸棲細菌に近似するとの考えが妥当に思えることから,今回分離された菌も本来は陸地環境からもたらされたものではないかとの推考がなされる.一方,ホノルルの市販魚43尾からは本菌の検出は全くできなかったが,これがハワイ全体の市販魚についての実態を示すものかどうかについては,さらに多くの店舗での調査が必要と思われる.K抗原の型別では18株の分離腸炎ビブリオのすべてが既知の血清型に分類できたが, K6が8株と半数近くを占めた.また,O群別ではO1からO5までに全株含まれ,マウスに対する毒性もすべてに認められた.なお,これらの菌株中にはK3に型別された4株の白糖分解性のものが含まれており注目される.ハワイを含め熱帯,亜熱帯地方の諸島ではシガテラやその他末知の有毒魚類こよる食中毒の発生がみられているが,その中には症候学的,疫学的な面で腸炎ビブリオ食中毒に類似する発症例が散見される.これらの中毒の一部には本菌食中毒の混在が疑われることから,その関連性について考察を加えた.In Japan, the food poisoning by V. parahaemolyticus breaks out recurrently in the summer season, and it is considered that the majority of bacterial acute gastroenteritis cases implicated in marine-fish and its product may have been caused by the organism
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