3次元AL法による堆積盆地の地震動解析
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概要
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本論文は,不整形地盤の3次元問題について,解析手法を提案し,さらにこれを用いて堆積盆地の地震動特性の検討を行ったものである.まず, 2次元問題において不整形地盤を解析するための有力な手法と評価されているAL法を, 3次元問題への拡張するための定式化を行った.従来AL法による3次元解析では特に工学的に重要な平面S波入射の垂直入射問題を取り扱うことが困難とされていた.この問題を,ベクトル・ポテンシャルによる変位の表現式を工夫することにより解決した.そして,提案した解析手法の妥当性と作成したプログラムの信頼性を確認するために,他の手法により示されている軸対称堆積盆地についての解析結果と比較したところ,良い一致を示した.続いて,これまで取り扱われることの少なかった3次元地下構造を有する堆積盆地の地震動特性を,軸対称問題ばかりでなく,非軸対称問題についてもAL法による3次元解析を行い,得られた周波数応答および時刻歴応答を1次元解析および2次元解析による応答と比較検討した.その結果, 1次元解析よりも2次元解析, 2次元解析よりも3次元解析というように,解析する次元が高くなるにつれて,堆積盆地の地表動には,より短周期の波動が励起され,振幅もより大きくなり,継続時間もより長くなるという傾向が見られた.これは, 3次元的な地下構造が地震動に与える影響が非常に大きいことを示唆している.In the last two decades, different methods for studying the responses of sediment-filled valleys have been developed. We classified these methods into five categories: a) Region methods, e.g., FEM and FDM; b) Integral methods, e.g., BEM, BIEM and ALM; c) methods concerned with the Ray Theory, e.g., Gaussian Beam method and Origami Method; d) Eigen function methods; e) Hybrid method, e.g., FEM combined with BEM. These methods, however, treat 2-D problems, except in a few cases in which 3-D problems were analyzed. The large differences found between the amplitude levels, predominant frequencies and duration time obtained by 1-D analyses and by 2-D analyses indicate that those differences would be larger between 2-D and 3-D problems.
- 東京大学地震研究所,Earthquake Research Institute, University of Tokyoの論文
- 1990-09-28
著者
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