愛鷹火山の地質
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概要
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本論はテフロクロノロジーの手法に基づき,特異なテクトニクス場にある火山と考えられている愛鷹火山の発達史について述べると共に,富士・箱根などの周辺火山の活動期との関係を検討した.愛鷹火山の活動は,4噴火ステージに区分され(Fig.23),挟在されるテフラ層との関係より,その活動時代は約40万年前より開始し,10万年前に終了したことが明らかになった.4つの活動期のうち,旧期と中期を境に,一連の分化により形成されたアシディックマグマの活動から再びベーシックマグマの活動へと変化する.また,中期の噴出物は南東側に厚く偏在しており,この成因として25万年前から17万年前までの間に,山体が南東側に傾動したと考えると,うまく説明できる.一方,愛鷹火山の活動期は箱根火山とほぼ同時期であり,古富士火山の活動以前に終了したと考えられる.Ashitaka volcano, situated at the south foot of Fuji volcano, central Japan, is a stratovolcano, dissected intensively. The eruptive products of Ashitaka volcano are divided into four stratigraphica groups: Older group, Middle group, Younger group and Youngest group. The Older group is mainly composed of many thin flows of basaltic lava (SiO2=49-53%) and voluminous tuff breccia. These lava flows are interstratified with Shimowada loam formation. The upper unit of the Older group consists of breccia pipe deposits in Kumagaya crater, and some tephra layers of Mishima loam formation east of Ashitaka volcano are air-fall deposits from the pipe. The middle group is composed of voluminous tuff breccia (Mtb), occupying more than half of the volume of the main body. The volcanic fan deposits are secondary deposits derived from Mtb. It is interstratified with a T-6 tephra layer which erupted from Ashitaka volcano 170,000 y. B. P.
- 東京大学地震研究所,Earthquake Research Institute, University of Tokyo,地震研究所の論文
- 1989-09-30
著者
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