34. Results of Precise Levellings Executed in the Epicentral Region of the Imaichi Earthquake
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概要
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今市地震の震央地域と思わはる落合村において3回の精密水準測量を施行して本文第II表及第III表に示す如き結果を得た.初め日光街道に沿つてある地理調査所の水準線路に今市町において取附ける豫定であつたが行川の兩岸が地形急峻で山崩が多く通過困難のため落合村内のみとした.水準點は第I表及び第1圖に示す如く施置した.急速を要するため岩盤に植附けた鐡ボルトを用ひた.測量方法は凡て地理調査所の方式と規格とによつた.第2表の結果によれば水準點No.1, No.Nと水準點No.2, No.3, No.4とは別箇の地塊上にあるものの如くで,兩方の地塊は第1回,第2回の測量期間夫々南東に傾いて,兩地塊の境目に食違を生ずる樣な運動をした.此の境目は宛も地震當時No.N水準點の直北に當つて,東北-西南の方向に沈下を生じた地帶に相当するものと思はれる.第2回,第3回の測量期の間には兩地塊は前と反対の方向に動き,全期間を通じて見ると,西乃至西北に傾いてゐる.傾斜の量は漸次に減少してゐる.地理調査所の測量によれば今市町西方に著しい隆起地域があることと,此が本震によつて生じたものであることを考へ合せると,落合村の地塊の運動方向は本震に伴ふ地殻運動が恢復する方向に向つてゐるものと思はれる.
- 東京大学地震研究所,Earthquake Research Institute, University of Tokyo,The Earthquake Research Instituteの論文
- 1951-03-25