11.Energy Dissipation in Seismic Vibrations of Actual Buildings of Unlike Structure.
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概要
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前の論文で實在の3階4階5階の建物の震動逸散性を述べた場合には,床の固定状態が極端に剛いといふ條件のもとに震動を取扱つれけれども,その固定状態が多少違つてゐるときには固有振動週期は別として勢力逸散性に非常な影響があるかどうかを見る爲にこの研究を試みたものである.今回も三菱地所課の御好意によつて題名の如き3種の建物(何れも地上3階鐵筋コンクリート造)を選んで研究することができた.状態の變化といふのは(a)床が極端に剛い場合と(b)床が極端に軟く從て水平動に對して何等の彈性的抵抗を與へぬ場合どである.尚附加へて構造壁が抵抗を及ぼさぬ場合をも考へて見たのである.(a)の場合の固有週期は他の建物の觀測から推定されるものよりも稍短く算出されるけれども,(b)の場合の固有週期は如何に考へてもありそうもない程長くなるものである.さて,震動勢力が地中へ逸散するために,種々の地震動週期による建物の屈曲モーメントが如何なる値を取るかをしらべて見ると,(b)の場合と雖も3階建の場合には逸散性がそれ程少くはならぬやうに思はれる.しかし共振附近のモーメントが零のfrequencyの場合と同じ位かそれよりも稍大きい位のものである.(a)の場合に1階にある柱や壁に起る屈曲モーメントは,zero frequencyでは最も大きいのに拘らず第1次共振以上のfrequencyでは非常に小さくなる.(b)の場合には何れの床の柱と壁に起る屈曲モーメントもfrequencyの増加と共に漸次同じやうに小さくなるから,1階だけが屈曲モーメントが小さくなろとはいはれない.この事柄に地震動で4階や3階に被害が多い事に照して面白い現象と思はれ,同時に床を相當に剛い状態にあるものと假定する方が實際に近いことがわかるのである.別に,齊田理學士が種々の建物の固有週期を比較して見たところが,その週期が大體に於て建物の高さに正比例することがわかつた.これは我々が彙報第12號に於て述べたやうに床が極端に剛い場合にのみ取り得る週期の割合であるから,齊田理學士の比較は結局建物の床が非常に剛いことを證明するのに他ならぬ課である.即ち,逸散性を考へたときに地震動のための被害と,固有週期の比較とから同時に床の剛さの程度がわかつた譯である.たとひ床の状態が極端に剛くないとしても,共振の場合の振幅が,床の極端に軟い場合以上には出ないこεがわかるのである.又,(b)の状態に於ける固有週期と(a)の状態に於ける固有週期との比が大きな建物では,(b)の共振に於ける屈曲モーメントと(b)の零のfrequencyに於ける屈曲モーメントとの比が大きな値を取る,然るにその場合(a)の共振に於けろ屈曲モーメントと(a)の零のfrequencyに於ける屈曲モーメントとの比は小さな値を取るものである.ここに注意すべきことは,只今の研究では3階の場合だけを比較したのであつて高暦建築の場合はどうなるかわからない.高層建築の場合には床を極端に軟くすると,恐らく逸散性が非常に減じ,共振の振幅が比較的に大きくなるもののやうに思はれる.この論文では床や壁の種々の場合を態と論じたけれども,實際の建物がその様な種々の状態を取る譯ではなく,寧ろ床が極端に剛い場合の状態,即ち共振に於けろ屈曲モーメントが非常に小さくなる場合が事實に最も近いのであつて,この論文の目的もそれを確めることにあつたのである.
- 東京帝国大学地震研究所,Earthquake Research Institute, Tokyo Imperial University,Earthquake Research Institute.の論文
- 1936-03-20
東京帝国大学地震研究所,Earthquake Research Institute, Tokyo Imperial University,Earthquake Research Institute. | 論文
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